FC2ブログ

冷凍されたオシドリとチューリップ人の王国

趣味で書いている小説用のブログです。

09<< 12345678910111213141516171819202122232425262728293031 >>11

改宗した結果殺害された男性の話を聞いた。

 私の教会の神父様がなさった話。

 数年前、中東の某国から来た一人のイスラム教徒が、今私が通っている教会でキリスト教に改宗した。
 中東の国々の中には、イスラム教以外を国教として認めていない国がある。
 改宗は命がけの行為だ。

 司教様を交えて話し合いをしたが、本人の改宗の意志は固く、結局、洗礼を施して彼はキリスト教徒になった。
 その後彼は祖国に帰った。
 少しして、彼が投獄されたという情報が入ってきた。
 そこで、カトリック教会としてさる国際的な人権団体に「信仰を理由に拘束された人がいる、この人が今どうしているか調査してほしい」と依頼した。
 回答は、「その人はもう亡くなっている」というものだった。

 殺されることがわかっていても改宗したかった、キリスト教に希望を置きたかったのだろう。

 たぶん、こういう話をしたらちょっと引いちゃう人のほうが多いと思う。
 自分が殺されるとわかっていても改宗するなんて、宗教ってなんなの? 理解できない。
 というのが一般的な反応だろう。
 
 どうして彼が改宗の道を選んだかは私には知りようもない。
 ただ、その人生は苦しみに満ちたものだったと思う。
 祖国が荒れ果てて、いられなくなり、日本に来た。聞いた話からわかるのはその程度のことだ。
 苦しんで、苦しんで、もう一度希望を探した結果が改宗だったんじゃないだろうか。

 人間にはどうしようもなく暗い一面がある。
 明るいほうを見て暮らしていても、ある日いきなり暗いほうを見せられる。
 暗いほうを見て、見続けて、だけどもう一度明るいほうを見たい、希望を持ちたい……そういうときに、もう一度明るいほうを見ようとするには勇気がいる。
 明るいと思うほうを見ても、それはもう無いのではないか。幻だったのではないか。探しても見つからないのではないか。より深く絶望するだけじゃないか。
 それは恐怖だ。
 だから、人間や世界の明るい面と暗い面の両方を知ってなお明るい面を信じ、明るく生きるには勇気がいる。
 その勇気を与えるものが宗教であり、信仰なのだと思いたい。
 人と人とを争い合わせて命を奪うものではなく。


COMMENT▼

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

TRACKBACK▼

http://reitouoshidori.blog.fc2.com/tb.php/405-68372538

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

 | ホーム | 

プロフィール

とよね

Author:とよね
ファンタジーやSFをメインに小説を書いてます。下のカテゴリ欄から読めるよ!
★印つきは連載中。

冷凍オシドリ累計

ブロとも申請フォーム