FC2ブログ

冷凍されたオシドリとチューリップ人の王国

趣味で書いている小説用のブログです。

07<< 12345678910111213141516171819202122232425262728293031 >>09

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

教会での出来事

『鳥籠ノ国』及び『失語の鳥』で聖書に触れたのをきっかけに、カトリックの教会に通うようになった。

ある日、聖書の講座が始まるよりもずっと早く教会に着いたので、一人で聖堂のベンチに座っていた。
吹き抜けになった聖堂の二階の音楽堂ではオルガニストがパイプオルガンの練習をしており、その音の洪水と、ステンドグラス越しの光を浴びながら、祈るでもない、しかし考え込むでもない、複雑な心理状態でいた。

頭の中では、自分の過去のこと、これからのことが渦巻いて、どうすればいいのかわからなかった。

その内に、鍵盤の上で指を転ばせながら練習していたオルガニストの演奏が、だんだんうまくなっていって、「プロが弾いているのか」というレベルになった。
そして、オルガンの音に溶けこんで、合唱の声が聞こえるようになった。

(あ、聖歌隊の人も来てるんだ。しかもこのオルガニストさん、本当はこんなにうまいんだ。っていうか、歌めちゃくちゃキレイだなあ)
と考えながら聞いている内に、思考の渦巻きが消え、心が軽くなっていくのが感じられるようになった。

歌が聞こえていたのは短い間のことで、オルガニストの演奏も、元通りのたどたどしい感じに変わっていき、それもやんだ。

私はベンチから立ち上がり、内陣(司祭が立ってミサをおこなう場所)の前まで行き、振り向いて、二階の音楽堂を見上げた。
すると音楽堂の手すりのところまでオルガニストがやって来て、一階を見下ろしてから、去っていった。
それきり誰もいなくなった。
最初からそこには一人しかいなかったのだ。


 | ホーム | 

プロフィール

とよね

Author:とよね
ファンタジーやSFをメインに小説を書いてます。下のカテゴリ欄から読めるよ!
★印つきは連載中。

冷凍オシドリ累計

ブロとも申請フォーム

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。