昨日の事だった。
点滴を受けながら半覚醒状態でうつらうつらしていると、ベッドを囲うカーテンをシャッと開けてキジトラ白の如水ちゃんが二足歩行で入ってきた。
あら嬉しい如水ちゃん、かわいいね愛しいね、お見舞いに来てくれたのねと思い手を伸ばすが届かない。如水は真面目な顔をして、
「あのねえ、僕ねえ、ねぇちゃんにねえ、隠してる事があってねえ」
と喋り出す。あら隠してる事? いったい何? 頭の中で問いかけると、如水は両手で自分の白い腹をビリビリ開き、
「あのねえ、僕ねえ、マトリョーシカなの」
と言う。すると如水ちゃんの腹から小さい如水ちゃんが出てきて
「あのねえ、僕ねえ、こ如水なの」
そのこ如水も二本足で立って腹を開くとさらに小さい如水ちゃんが出てきて
「あのねえ、僕ねえ、ここ如水」
としゃべる。
大中小の三匹の猫はベッドの周りで踊りはじめた。
「♪如水 こ如水 ここ如水 三匹揃うと 踊りだす」
私はベッドから起きられないまま手を伸ばし、如水如水や、マトリョーシカでも何でもいいから撫でさせてちょうだいと言うけれど、踊る三匹はついぞベッドに乗ってこない。
そんな夢を見た。
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かれこれ9年くらい前に購入した某社のプリンターだが、インクカートリッジが高いわ、取扱いのある店が少ないわ、印刷面が掠れる症状が出始めるわで、3年ほど前に買い替えて以来、私の部屋のカラーボックスをまるまる一段占領する形で放置されていた。
二度と使われることもなく、カラーボックスの真ん中の段に鎮座するプリンター。
そいつが邪魔なせいで購入した本が堆(うずたか)く床に積まれていく。
私はとうとうそのプリンターを粗大ゴミに出すことにした。
まずはインターネットで市に粗大ごみの回収を申し込む。
次にコンビニやスーパーで粗大ごみ回収シールを購入する。
最後に所定の置き場に置いておけば完了だ。
私の部屋は片付いた。
カラーボックスには床に積まれていた本が収まっている。
なんと清々しい気分だろう!
邪魔なプリンターがなくなった!
18歳の雪の日に買いに行ったプリンター。
お金がないから一番安いのを買おうという理由で選んだプリンター。
帰り道、雪で電車が遅延して、駅で重たい思いをしながらも、傘で濡れないよう庇うように抱いていたプリンター。
自分が書いた小説を初めて家で印刷して、書いたものが紙になる感動を教えてくれたプリンター。
それをゴミとして処分した。
あのプリンターはもうどこにもない。
もう本当にどこにもなくなってしまったんだ。゜゜(´□`。)°゜。ワーン!!!