【内容紹介】
病んだ太陽が血を流し、生ける屍と魔術がはびこる老いた地球。
大地は千々に引き裂かれ、神に見放された人々は、希望が存在しない世界でのあてどない彷徨をさだめづけられていた。
滅びの歌劇をめぐる小説集。
《漂流民――水相におけるイグニスからネメス》
老いた地球。人間が現実として認識できる世界は、無数の〈相〉に分かたれている。かつて他の〈相〉を支配するほど強大な力を持った〈水相〉は、今や全ての陸地を失い、没落の一途を辿っていた。
海に浮かぶ小さな都市で、貧しい少女ウラルタは未来の日付の手紙を受け取った。差出人は自分。ウラルタは手紙が来た道を逆にたどり始める。旅の先に、終わらない漂流の理由がある事を信じて。
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《死の谷――発相におけるネメス》
冷たい死の女神の星は、十五年に一度、夏至の夜に生まれた赤子を生贄に要求する。十五歳を迎えた生贄の娘リディウはさだめに従い、封印されたネメスの大聖堂図書館に向かった。
もしも自分が生贄にふさわしいと認められなければ、またも新たな生贄が求められることになる。リディウは生贄の役を果たし、失われた歌劇場への入り口を見つけることができるのか。
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《ヴェルーリヤ――石相におけるジェナヴァ》
人々を痛みから救いたい。神に願いを聞き入れられ、人間の姿を与えられた善き精霊がいた。彼は望み乞われるまま人々を癒やし続けるが、欲深さによって傷つけられて以来、心を閉ざしてしまい――。
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《王の荒野の王国――木相におけるセルセト》
タイタス国との終わらない冬戦争によって荒廃したセルセト国では、王は生きながら腐り果て、無能な第一王女ブネは、王の荒野の彼方に眠る男の幻影に恋焦がれていた。
第二王女ニブレットは、腐術によって死の眠りから呼び起こされた。彼女に下された指令は、王の荒野の彼方から、月の光を食べて生きる青年を見つけ出すこと。しかし、偉大なる渉相術師の死の影響によって荒野は思いもよらぬ変貌を遂げていた。
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《意味と狂人の伝説――収相におけるナエーズ》
肥沃な土と厳しくも美しい自然に恵まれた島、ナエーズ。セルセト国によって平定されて以来、急速な異文化の浸透によって各地の紛争は終息したかに思われたが、その平和は山岳民族の独立宣言によって脆くも崩れ去った。町では民族の違いを理由に隣人同士が殺し合い、その根深い恨みと対立の前に、セルセトの治安部隊は無力を晒すしかない。
孤立した都市カルプセスでは、セルセト軍が過酷な決断を下した。それは、生存の可能性をかけて、カルプセスを見捨てて安全地帯である新シュトラトへ逃げる事。セルセト人である星占(ほしうら)の娘ラプサーラは、その行軍に同行した……行く先に、生きる望みがあると信じて。
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《歌劇――あるいは破滅への神話》
ミンナ、
ミンナ、
死ンジャッタ――
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分量…581枚(20×20換算枚数)
執筆期間…2013.10.25~2014.12.30
【その他】
・あとがき
・『小説家になろう』版
内容の変更について:『王の荒野の王国――木相におけるセルセト』につきまして、『小説家になろう』利用規約に基き性的な表現を修正しております。
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